閑話往来
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贈り物
 ある日、お土産にもらって帰った洋菓子の小さな手さげ袋。中身を取り出し、空になった袋を丸めて捨てようとしたときのことです。袋の表面にフランス語で印刷された次のような言葉が、ふと目にとまりました。

Le cadeau n'a pas
une grande signification;
ce qui est essentiel c'est de
transmettre le coeur.

【試訳】 贈り物そのものに
     たいした意味はない。
     ほんとうに大切なのは
      心を伝えること。



「誡子書」
 NHKテレビの歴史解説番組に「そのとき歴史が動いた」があります。そのなかで、「三国志英雄伝」というテーマで放送されたことがありました。それを見て、蜀(しょく)の丞相だった諸葛孔明(しょかつこうめい)が子孫に残した家訓がどのようなものかを知りました。その家訓は「誡子書(かいししょ)」、つまり「子を誡(いまし)める書」といい、今も諸葛孔明の子孫が住む諸葛鎮の大公堂に保管されているとのことでした。番組の最後に読み上げられた「誡子書」は、次のような内容でした。

優れた人は静かに身を修め、徳を養う。
無欲でなければ志は立たず
おだやかでなければ道は遠い。
学問は静から、才能は学から生まれる。
学ぶことで才能は開花する。
志がなければ学問の完成はない。



事を成すは天にあり
 小説『三国志』(講談社、吉川英治歴史時代文庫)の第8巻、p.317 に、「事ヲ謀(ハカ)ルハ人ニアリ、事ヲ成スハ天ニアリ」という言葉が書かれています。人間が強い意志をもって何事かを計画し、知力と努力の限りを傾けて実行に当たっても、成功するか不首尾に終わるかは、ひとえに天命によるものであることをこの言葉は表していると思います。たとえどのような結果が待ち受けていようとも、常に最善を尽くす潔い覚悟で事に臨みたいものです。


本来の一体性
 メキシコの詩人であり評論家でもあったオクタビオ・パス (Octavio Paz) は、1990年にノーベル文学賞を受賞したことで日本でもその名がよく知られるようになりました。彼は早くから松尾芭蕉の俳句のスペイン語訳にも取り組んでいて、翻訳の分野でもすぐれた才能を発揮していたようです。
 ところで、下記の言葉のなかに the unity of the beginning というのがあります。これは、「本来の一体性」あるいは「原初の一体性」と訳せると思いますが、キリスト教文化圏ではバベルの塔崩壊以前の人類の「一体性」を意味するようです。しかし、人類学の視点に立てば、アフリカのサバンナに出現した人類の祖先がみな同じ言葉を話し同じ文化を共有していたときの「一体性」と考えることができるでしょう。

Octavio Paz
To speak a foreign tongue, understand it, and translate it into one's own is to restore the unity of the beginning.
(Reading and Contemplation translated by Helen Lane)

【試訳】 外国語を話し、理解し、自らの母語に翻訳することは、本来の一体性を取り戻すことである。

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北辰メディア
   
(2004/05/28更新)
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