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『文学論』──自己本位の読み方のまとめ
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意識とは何ぞや
   2015/5/10 (日) 05:34 by Sakana No.20150510053454

05月10日

「漱石の法則(F+f)で、焦点的印象または
観念の焦点的──FocusのFについて説明するに
は、まず、意識という語の説明からはじめなけ
ればなりません」
「意識とは何ぞや?心、精神、あるいは魂と同
じなのか、ちがうのか。ちがうとすればどこが
どうちがうのか?」
「それは心理学上容易ならざる問題で、到底
一定義に収め難きものという専門家もいます」
「意識といっても、現象的意識と反省的意識と
はちがうともいわれておる」
「印象は現象的意識、観念は反省的意識とかか
わりがあるかもしれません」
「思いつきを口走らないで、正しいことを言っ
てほしい」
「なるべくそのようにつとめますが、文学論は
心理学の研究ではありませんから、意識とは何
ぞやについての完全な定義を求めなくてもよい
のです。とりあえず、Lloyd Morganという人が
その著『比較心理学』で説いている<意識の波>
説を採用すると、説明が便利になります」
「意識が波のように時々刻々変化するという説
だとすると、現象的意識だね」
「反省的意識も変化すると思いますが、まあそ
の辺は深入りしないで前にすすみましょう。意
識の波の頂点即ち焦点Fは意識のもっとも明確
なる部分であり、その部分は前後にいわゆる識
末なる部分を具有しています」
「それは現象的意識の波にちがいない」
「Aという意識の波の頂点がBに移るとき、A
はaという辺端的意識と変じて存在し、Bがさ
らにCに転じるとaとbはともに意識の波の辺
端的意識となります」
「きみ自身が今朝、経験したばかりの意識の波
を例にとって説明してくれ」
「さきほどの私の焦点的意識Aは文学論でした。
それが、Bの宇宙論に移って、Aはaとなる。
宇宙の誕生は何年前だと思いますか」
「さあ、百億年前かな」
「百三十八億年前です」
「たいして変わらない」
「たいへんな違いですよ。それはともかく、次
の瞬間、私は窓の外の若葉へ眼をやり、若葉を
季語とした俳句をひねることにしました。一日
一句、朝の頭の体操です」
「どうせ駄句だろう」
「駄句でもかまいません。要するに、私の意識
の波の頂点Fは若葉俳句に移った。そして、今
やaの文学論とbの宇宙論が辺端的意識として
残存しているのです。さわやかな一日のはじま
りではありませんか」


漱石の法則
   2015/5/7 (木) 06:12 by Sakana No.20150507061208

05月07日

「凡そ文学的内容の形式は(F+f)なるこ
とを要す──この法則が『文学論』を読みと
くカギです。Fは焦点的印象または観念を意
味し、fはこれに附着する情緒を意味します」
「わけがわからんと、ぼやいて、尻尾を巻い
たのは誰だ?」
「ニュートンの法則はご存じですか」
「物体は外部から作用を受けなければその速
度は一定である。 動いているものは動き続
け、止まっているものはいつまでも止まって
いる──これが第一法則(慣性の法則)。さ
らに、第二法則と第三法則がある」
「『文学論』では<物体は外より力の作用す
るにあらざれば静止せるものは終始その位置
に静止し、運動しつつあるものは等速度を以
て一直線に進行す>とあり、また『猫』八に、
<ニュートンの運動律第一に曰くもし他の力
を加うるにあらざれば、一度動き出したる物
体は均一の速度を以て直線に動くものとす、
とあります。やはり、(F+f)はニュート
ンの法則を意識して打ち立てられたものにち
がいありません」
「そういう思いこみは科学的な態度ではない」
「ニュートンの法則だってわけがわからんの
に正しいことになっています。信じるほかは
ありません」
「それでは宗教になってしまう」
「私は漱石の法則(F+f)を中学校の国語
の授業で教えるべきだと思います」
「ニュートンの法則は実験によって証明でき
るが、漱石の(F+f)も証明できるのか」
「学生たちに宿題を与え、証明させましょう。
後世怖るべし。近頃の中学生の潜在能力は侮
れません」



文学の定義
   2015/5/4 (月) 06:06 by Sakana No.20150504060619

05月04日

「根本的に文学とは如何なるものぞ」
「それは文学とは何かという定義の問題だと
思って探しましたが、『文学論』には見つか
りません」
「三四郎の手帳を借りればよい。大学で西洋
人の先生による文学論の講義に出席すると、
先生は古来文学者が文学に対して下した定義
をおよそ二十ばかり並べた。三四郎はそれを
大事に手帳に筆記している」
「三四郎はとっくの昔にあの世へ行き、あの
世のストレイシープになっています。もっと
も彼が筆記した文学の定義は『英文学概説』
(英文学形式論)に載っていますが、漱石先
生の見解は、<私は文学なるものは科学の如
く定義をすべき性質のものでなく、下し得る
ものとも考えへて居らない>というものです」
「つまり、三四郎は講義に出席して役に立た
ないことを筆記した。彼の努力はムダだった」
「そういってしまえばミもフタもありません。
もっと気のきいたアドバイスをお願いします」
「電光影裏に春風を斬れ」


文学とは如何なるものぞ
   2015/5/1 (金) 07:11 by Sakana No.20150501071107

05月01日

「それでは、夏目漱石『文学論』のまとめを意
識しながら、もう一度、最初から読み進めてい
きたいと思います。二年間の期間限定です」
「三度目の正直ということもある。おつきあい
させていただくよ」
「ありがとうございます。『文学論』は解読に
苦労しますが、幸い、この百年間に多くの研究
者がいろんな角度から解説してくれているので
参考になります」
「参考資料をすべてチェックしたのか」
「多すぎて、一通り目を通すだけでもたいへん
です。でも、主なものはなるべく網目から洩ら
さないようにしたいと思います」。
「要するに『文学論』は何を論じているのだ?」
「根本的に文学とは如何なるものぞ──です」
「それで、結論は、如何なるものだ?」
「結論を急いではいけません。まず、根本的に
考えることです。心理的に文学は如何なる必要
あつて、この世に生れ、、発達し、頽廃するか。
社会的に文学は如何なる必要あつて、存在し、隆
興し、衰滅するか」
「世間の大勢は文学無用論ないし文学不要論だぞ」
「それもちゃんと視野に入っています」


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