『文学論』──自己本位の読み方のまとめ

長谷部さかな 著
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宿題と注意事項ーーまとめ
   2017/4/20 (木) 07:58 by Sakana No.20170420075824

04月20日

「それでは『文学論』序から第一編、第二編、
第三編、第四編、第五編の宿題ないし注意事
項をつぎのようにまとめておきます」
「なんだこの程度だったのかと、読者をがっ
かりさせそうだね」
「あなどれませんよ。Aだけでもたいへんな
宿題です。けっきょくこの問題を問い続ける
ことに意義があるような気がします」

<宿題>
 序: A:根本的に文学とは如何なるもの
      ぞ。
 第一編B:漢学に所謂文学と英語に所謂文
      学とは到底同定義の下に一括し
      得べからざる異種類のものたら
      ざるべからず。両者を定義せよ。
    C:凡そ文学的内容の形式は(F+f)
       なることを要すという法則の吟味。
     D:『文学論』でいう文学的内容の基
      本成分の分類方法の吟味。
    E:『文学論』でいう文学的内容の分
      類方法の吟味
    F:神経衰弱、狂気と文学との関係の
      吟味
 第三編G:文芸上の真と科学上の真に加えて
      哲学上の真についての考察
    H:断面的文学の文例を文学的内容の
      分類や基本成分の分類にしたがっ
      て収集。
 第四編I:文学の大目的の奈辺に存するかを
      考察
 第五編J:日本人の集合的Fや人類の集合的
      Fが今後どのように推移していく
      かについての予測

<注意事項>
 第二編a:作者と読者の幻惑による文学的内
      容の数量変化
 第三編b:文芸上の真と科学上の真との比較
 第四編c:文学の第二の目的である幻惑


愚直
   2017/4/23 (日) 07:55 by Sakana No.20170423075544

04月23日

「夏目漱石『文学論』を十年計画で読み続け。
ようやくゴールにたどりつきました。伴走す
るかたちで、おつきあいいただき、有り難う
ございます」
「苦節十年か。しかし、同じところをぐるぐ
るまわっているだけで、ラチがあかず、結局、
何にもならなかったね」
「そんなことはありません。私にとっては収
穫がありました」
「そう思うことができれば幸せだ。少なくと
も、きみが牛のように愚直な歩みをしたこと
だけはみとめよう」
「牛の歩みについては漱石先生の書簡にあり
ますね。<勉強をしますか。何か書きますか。
君方は新時代の作家になる積でせう。僕も其
積であなた方の將來を見てゐます。どうぞ偉
くなつて下さい。然し無暗にあせつては不可
ません。たゞ牛のやうに圖々しく進んで行く
のが大事です>(久米正雄、芥川龍之助宛書
簡、大正5年8月21日付」
「芥川龍之介は偉くなったが、彼の神経はカ
ミソリだった。牛のように図々しくなかった。
その点、きみなら牛になれる」
「狂歌一首を披露します。
   牛の如く歩む彼方に賭殺場
   ステーキハウスの肉となるらん」


二人のウィリアム
   2017/4/26 (水) 06:57 by Sakana No.20170426065739

04月26日

「十年計画が完了して、気がぬけました。こ
れから先、私はどうすればよいでしょうか」
「それこそ則天去私だろう」
「高齢化社会と科学医療技術の進歩により、
私の天命はまだつきていません。ヒマはたっ
ぷりあり、困ったものです」
「やるとすれば漱石が果たせなかった『則天
去私の文学論』か」
「そうですね。娘婿の松岡譲によれば、晩年
の漱石先生は、『明暗』なんぞはそんな(則
天去私的な)態度で書いているが、自分は近
いうちにこういう態度でもって新しい本当の
文学論を大学あたりで講じてみたいと言って
おられました。また、ジェイン・オーステン
の『高慢と偏見』やオリバー・ゴールドスミ
スの『ウェイクフィールドの牧師』を則天去
私的な作品とみなしておられたそうです」
「その辺は漱石の真意がどうもよくわからん」
「私も『明暗』『高慢と偏見』『ウェイクフ
ィールドの牧師』を読んでみましたが、則天
去とのつながりがよくわかりませんでした」
「他に手がかりはないのか」
「『文学論』を深読みすれば、やはり沙翁、
ウィリアム・シェイクスピアからの引用が多
く、特に歴史劇からの影響が大きいようです
ね。それにもう一人あげれば、哲学者のウィ
リアム・ジェームズ。この二人のウィリアム
に注目する必要があると私は思います」
「そういえば、ウィリアム・ジェームズの
『多元的宇宙』は、修善寺の大患の後、残り
半分を三日で面白く読みおわったと『思ひ出
すことなど』で書いている」
「では『則天去私の文学論』と題して、二人
のウィリアムの思想を研究することにしまし
ょう」

『英国篇:薔薇戦争』
(逆順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-eng/minibbs.cgi
(正順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-eng/minibbs-s.cgi

『米国篇:多元的宇宙』
(逆順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-usa/minibbs.cgi
(正順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-usa/minibbs-s.cgi


断面的文学を読む
   2017/4/29 (土) 08:38 by Sakana No.20170429083812

04月29日

「『文学論』で私がものたりないとやや不満
に思い、補遺のかたちで資料を収集してあげ
たいと思ったことがあります」
「何だ?」
「漢学に所謂文学と英語に所謂文学とは到底
同定義の下に一括し得べからざる異種類のも
のたらざるべからずと言っているのに、具体
的な引用はほとんどが英文学からで日本文学
からの引用がほとんどありません。これでは
比較しろといっても、比較のしようがないと
思います」
「漢学に所謂文学なら四書五経と左国史漢を
読んだらどうだ」
「子供の頃から漢文の素読をしていないと難
しいですね」
「それならきみが十八世紀から二十世紀まで
の日本文学から適当に見つくろって引用文を
収集分類すればよい」
「それもたいへんな作業になりそうですが、
断面的文学にかぎれば、やってやれないこと
はありません」
「断面的文学というと和歌、俳諧、漢詩の類
だな」
「その分野では日本には豊かな文学的遺産が
あります。それを利用しない手はないでしょ
う」
「分類方法はどうする?」
「『文学論』で紹介されている文学的内容の
分類方法と基本成分にしたがいます」
「連歌の俳諧には伝統的な式目による分類方
法があるぞ」
「では、それも視野に入れて、比較検討する
ことにしましょう」

『日本篇:俳諧狂句』
(逆順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-jpn/minibbs.cgi
(正順版) http://www.hokushin-media.com/sokuten-jpn/minibbs-s.cgi


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「『文学論』──自己本位の読み方のまとめ」 長谷部さかな 著
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